評価センター資料閲覧室
(財)資産評価システム研究センター 

U 各公的土地評価における価格形成要因の取扱い


1 価格形成要因※13

 不動産の価格を形成する要因(以下「価格形成要因」という。)とは、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因であり、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。
 一般的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいう。一般的要因は自然的要因(地質、地盤等の状態など)、社会的要因(人口の状態、家族構成及び世帯分離の状態など)、経済的要因(貯蓄、消費、投資及び国際収支の状態、財政及び金融の状態など)、行政的要因(土地利用に関する計画及び規制の状態など)に分類される。
 一般的要因の分析は、地域要因、個別的要因の分析を行う前提として行われ、不動産の用途ごとの有効需要を的確に把握するために必要となるものであり、地域の標準的使用及び対象不動産の最有効使用の判定の基礎となるものである。
 地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。したがって、地域要因は土地の用途が同質と認められるまとまりのある地域の土地の価格の水準に作用する要因である。地域要因は街路条件(街路の幅員、構造等の状態等)、交通・接近条件(都心との距離及び交通施設の状態等)、環境条件(汚水処理場等の嫌悪施設等の有無等)及び行政的条件(土地利用に関する計画等)に分類される。
 個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。個別的要因は街路条件、交通・接近条件、環境条件、行政的条件及び画地条件(間口、奥行等)に分類される。
 価格形成要因のうち、一般的要因は、上述のような分析を行った結果として、地域要因に織り込まれることから、地域要因と個別的要因を分析することにより、土地価格への影響を検討することになる。

2 宅地の地域要因と個別的要因

(1) 地価公示評価

 不動産の鑑定評価上は用途的観点からの分類が適切であるため、土地に関する地域要因については、宅地地域(住宅地域、商業地域、工業地域)、農地地域、林地地域に、個別的要因は不動産鑑定評価基準においては、宅地(住宅地、商業地、工業地)、農地、林地、見込地及び移行地に大別して要因が例示されている。住宅地の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
@日照、温度、湿度、風向等の気象の状態
A街路の幅員、構造等の状態
B都心との距離及び交通施設の状態
C商業施設の配置の状態
D上下水道、ガス等の供給・処理施設の状態
E情報通信基盤の整備の状態
F公共施設、公益的施設等の配置の状態
G汚水処理場等の嫌悪施設等の有無
H洪水、地すべり等の災害の発生の危険性
I騒音、大気の汚染、土壌汚染等の公害の発生の程度
J各画地の面積、配置及び利用の状態
K住宅、生垣、街路修景等の街並みの状態
L眺望、景観等の自然的環境の良否
M土地利用に関する計画及び規制の状態

 住宅地の個別要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
@地勢、地質、地盤等
A日照、通風及び乾湿
B間口、奥行、地積、形状等
C高低、角地その他接面街路との関係
D接面街路の幅員、構造等の状態
E接面街路の系統及び連続性
F交通施設との距離
G商業施設との接近の程度
H公共施設、公益的施設等との接近の程度
I汚水処理場等の嫌悪施設等との接近の程度
J隣接不動産等周囲の状態
K上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
L情報通信基盤の利用の難易
M埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
N土壌汚染の有無及びその状態
O公法上及び私法上の規制、制約等

 上記のように画地条件以外の個別的要因は地域要因と重なり合う要因もある。地価公示評価においては、標準地の属する近隣地域の位置、自然的・社会的環境等地域の特性を示す地域の状況を把握したうえで地域における標準的使用と当該標準地の最有効使用について分析することになる。

(2) 相続税評価

 相続税評価においては、路線価付設の際に、標準地の評価を行うことから、この評価において地域要因を反映させることになる。そのため、地域要因と画地条件以外の個別的要因が、路線価に反映される。
 画地条件を中心とした個別的要因が、画地計算法の適用により、一画地の宅地の評点数に反映される。
 相続税評価で考慮される個別的要因のうち画地条件は次のとおりである。
@奥行価格補正
A側方路線影響加算
B二方路線影響加算
C不整形地補正
D間口狭小補正
E奥行長大補正
Fがけ地補正
G広大地補正
H容積率の異なる2以上の地域にまたがる地域
I余剰容積率の移転のある宅地
Jセットバックを必要とする宅地の評価
K都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価

(3) 固定資産税評価

 固定資産税評価の市街化宅地評価法においては、路線価付設の際に、標準宅地の評価を行うことから、この評価において地域要因を反映させることになる。そのため、地域要因と画地条件以外の個別的要因が、路線価に反映される。
 画地条件を中心とした個別的要因は、画地計算法の適用により、各筆の宅地の評点数に反映される。
 その他の宅地評価法では、地域要因は、標準宅地の価格に反映される。
 個別的要因は宅地の比準表の適用により、各筆の宅地の評点数に反映される。
 固定資産税評価で考慮される個別的要因は次のとおりである。
@奥行価格補正
A側方路線影響加算
B二方路線影響加算
C不整形地補正
D間口狭小補正
E奥行長大補正
Fがけ地補正
G無道路地補正

3 個別的要因の状況

 不動産鑑定評価における主な個別的要因のうち、相続税評価における財産評価基本通達、固定資産税評価における固定資産評価基準において、補正項目とされているものは以下のとおりである。

個別的要因相続税評価固定資産税評価
日照・通風・乾湿(方位)××
(△)
間口・奥行・形状
セットバックを必要とする土地×
(△)
地積(広大地)×
(△)
接面街路との関係××
(△)
騒音・振動等のある土地××
(△)
高圧線下地××
(△)
地下阻害物××
(△)
地上阻害物××
(△)
10横断歩道橋××
(△)
11忌み地××
(△)
12隣接不動産等周囲の状況××
13埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態××
(△)
14土壌汚染の有無及びその状態××
15特定道路までの距離による容積率緩和のある土地××
16壁面線の指定による容積率の緩和のある土地××
17容積率の異なる2以上の地域にまたがる土地×
(△)
18余剰容積率の移転×
19土地区画整理事業施行中の土地×
(△)
20違法建築物の敷地××
(△)
21都市計画施設予定地×
(△)

(※)・財産評価基本通達は平成14年6月4日改正後、固定資産評価基準は平成12年12月28日改正後によるものである。
・表中○印は採用、×印は不採用、(△)印は平成12年度評価替えにおいて市町村長の所要の補正により対応しているものがあることを表す。
・各個別的要因の内容については、資料編に記載している。

 なお、不動産鑑定評価において個別的要因として反映されているものについて、相続税評価・固定資産税評価では、個別的要因としてではなく、路線価の付設において反映されるものがある。


市町村長の所要の補正実施市町村数
昭和63年度平成3年度平成6年度平成9年度平成12年度
私道440474598811851
接面道路との高低差202259438656712
用排水路等182226387637686
高圧線下379410468558611
接面道路の系統・構造等87117312550569
宅地の比準表62122246317298
都市計画施設予定地170186208255256
画地条件・その他5250219273192
在来線5579118153177
日照阻害120138152174176
忌み施設5266107148173
急傾斜地5875113145170
横断歩道橋99112136165167
区画整理地区等000111165
画地計算法附表6886137155155
地下阻害物495767111125
地上阻害物2642457394
高速道路その他4342558282
環境条件・その他218544372
規制区域その他1719328972
新幹線4646496152
市街化調整区域0003439
湿地・砂利等2118313435
港湾加算3128302628
悪臭1216273026
航空法規制地781089
2,2992,6844,0395,6995,992